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| 2016.07.09 - Sat  |  怖い話 |

ふと夜中に想像してたやつ。

これから語るのは、僕の友人が、会社の先輩から聞いたお話だ。
興味があれば、聞いていってくれ。




友人が大学を卒業して初めて入った会社には、ちょっと気が小さな先輩がいた。
気が小さい、というのも、その先輩は携帯の通知音がピロンと鳴る度にびくりと反応するのだ。
ただ、部署は違うので顔を合わせることはあっても、会話をする機会はそんなになかった。

あるとき喫煙室で、友人とその先輩がばったり出くわした。
軽く挨拶を交わして部屋に入ると、他に人はおらず先輩と二人きりだった。
煙草を取り出して火をつけようとしたあたりで、友人の携帯がピロンと鳴った。
目の端でびくりと反応する先輩を捉えた友人は、携帯を開きながら、何気なくたずねた。

「先輩って通知音にやたらと過敏に反応しますね。」

するとその先輩は苦笑いして、

「トラウマ、みたいなものがあるんだ」
「へえ・・・・・・どんなものか、聞いてもいいですか?」

失礼な事を聞いたかと思ったが、意外にも先輩は笑ってこう答えた。

「ちょっとだけ怖い話になるけど、そういうの平気?」
「大丈夫です」

そう返答すると、そうか、と言って先輩はゆっくり語りだした。



「実はね、僕の友人が昔、事件に巻き込まれて死んでしまったことがあるんだ。
 その友人はお世辞にもいい性格とは言えなくてね……その、何か起きたときによく責任転嫁をしては敵を作っていた。
 何度話して、宥めて、叱って――それでも彼のそういう部分は治らなかった。
 それでもなぜだか放っておけなくてね、おせっかいを焼いているうちに段々と打ち解けて、仲良くなれた。
 だから、きっと、事件が起きたときに真っ先に助けを求めたのも僕だったんだと思う。

 事件があった日の朝、たまたま銀行に寄った友人は、たまたま強盗事件に出くわしてしまった。
 本当にたまたま、ただ運が悪くて、友人は人質の一人になってしまった。
 友人はどうにかできないか、打開する方法はないかと考えて、考えて、考えた末に、僕にこっそりとメッセージを寄越した。
 『110』とだけ。
 きっと、犯人の目を盗める時間はそう多くなかったんだろうね。
 その3文字の、最低限で、精一杯のSOSに、僕は1時間以上も経ってから気付いたんだ。
 そして、その意図も汲み取れなかった。
 僕は何も考えないまま、『なにかあったのか』と返信してしまった。
 それで――気付かれてしまったんだろうね。
 彼は、人質の中で唯一、殺されてしまった。

 強盗犯はその日中に逮捕され、犯人の名前まで報道されていた。
 本物の銃器まで持ち込んでいたのに、詰めが甘かったのかなんなのか……けど、そんな事すら考える余裕もなかった。
 僕は、罪悪感でいっぱいだった。
 僕が友人を殺してしまったも同然だった。
 その日は、帰宅するなり電気もつけずにベッドに倒れこんだ。
 そして、声を押し殺して泣いて、泣いて、泣いて、謝って――気付いたら泣き疲れて寝てしまっていた。
 
 目が覚めたときは深夜で、たぶん2時を回ったくらいだったかな。
 真っ暗な部屋で携帯の着信を知らせるランプだけがチカチカ光っていた。
 ぼんやりと携帯を手にとり確認した瞬間、僕の全身は粟立った。
 通知されたメッセージは2件、そして送信者が、友人になっていたからだ。
 僕は段々と血の気が引いていくのを感じながら、それでも罪悪感からか、メッセージを確認しなければと思った。
 震える手でメッセージを開封すると、それは
 『110』
 あの時のSOSと全く同じだった。そして、2通目には
 『119』
 全く別の意味での、SOSがそこにはあった。
 友人の悲痛な叫びが、その3文字にこめられていた。
 思わず携帯を取り落とすと、通知音がなった。
 ひっと声をあげ、取り落とした携帯を覗き見ると、またしても友人からのメッセージだった。
 そして、今度はさして時間も空けず、通知音がする。
 僕はもう怖くて、それ以上中身を見ることは出来なかったけれど、どんなメッセージなのかははっきりとわかった。
 僕を責める3文字のメッセージが、ひたすらに僕を苛んだ。
 通知音は僕が開封する意志がないとわかったように、間髪いれずに鳴り続けるようになった。

 ピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロン……
 『119』『119』『119』『119』『119』『119』『119』『119』『119』『119』『119』『119』『119』『119』『119』……

 僕はどうしていいかわからないまま、布団を被り、目をぎゅっと瞑り、耳を両手でふさいで、歯をガチガチ鳴らしながらそれが止むのを待った。
 それしか方法がわからなかった。

 ――ピロン。

 どのくらいの時間が経ったのか、わからなかったが、不意に通知音がやんだ。
 僕はゆっくりと片目をあけ、そしてもう片方の目もおそるおそるあけた。
 布団の隙間から携帯の様子を伺うと、どうやら電池が切れたらしく完全に停止していた。
 ほっと一息つき、今日はもう充電せずにこのまま寝ようと決め、身にまとっていた布団を脱ぎ捨てた。
 汗ばむ服が気持ち悪い。少しだけ夜風に当たりたいと、ふと窓の外を見た。

 すると、じっと僕を見ている目と、視線がぶつかった。

 それは、友人のような輪郭をしており、友人のような背丈であり、友人のような細い目であり、それは友人そのものだった。
 窓に手をつき、じっと僕を見つめる目と、3秒くらい見詰め合っただろうか。
 情けない事に、僕は恐怖のあまりに気を失ってしまった。

 次に目が覚めたとき、携帯にはなんの通知もなく、友人からのメッセージは事件の日に届いたもの以外なくなっていた。
 夢だったのかとも思ったけれど、窓には僕のものではない手形がくっきりと残っていた。

 僕はその日、会社を休み、お祓いに行って、霊を寄せ付けないようにするありとあらゆる手段を試してみた。
 携帯の通知音だけは、どうやらバッテリーに関係なくなるようで、どうやっても毎晩鳴り響いたが、窓の外に友人が現れることはなくなった。
 そして、49日もすぎると、携帯の通知も止んで、完全に友人から解放された。
 けどね、やっぱり何もなくなっても、その時の恐怖と通知音がイコールになってるみたいで、条件反射で身体がびくってなっちゃうんだ。」

 情けないね、と先輩は自嘲気味に呟いて締めくくった。
 友人は背中にべっとりと張り付いたシャツの気持ち悪さを感じながら、乾いた笑いで返答した。
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